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寺崎弁護士の法律の窓 川口事務所 協力弁護士 寺崎時史氏
「従業員の交通事故」
ある相談例です。従業員が休みの日に飲酒運転をして人に大けが(全治3か月)をさせましたが、怖くなり逃げてしまいました。会社は、どう対応をすればいいでしょうか。
 まず本件交通事故は、会社の「事業の執行について」起きたわけでも、会社の車に乗っていたわけでもありませんでした。したがって、会社の使用者責任(民法第715条)や運行供用者責任(自動車損害賠償保障法第3条)の問題は生じませんでした。
 従業員は、業務上過失傷害(場合によっては、危険運転致傷罪)と道路交通法の酒気帯び運転と救護義務・報告義務違反になります。
 ほとんどの会社は、就業規則の懲戒事由として犯罪行為を挙げていると思いますが、従業員の行為は私生活上の非行であっても、会社の社会的評価の毀損をもたらしますので、本件では従業員は懲戒解雇されます。では従業員が公判で裁判を受けることになっている場合、いつの時点で懲戒解雇すればいいのでしょうか。
 従業員からの事情を聴取して本人が罪を認めているのであれば、判決を待つまでもなく、会社としては懲戒解雇した方がいいでしょう。  判決が報道される場合には、元会社員となっていた方が会社の社会的評価の毀損の程度が小さくなるからです。また結果的には、従業員は、社会的制裁(懲戒解雇)を受けているということが量刑の面で有利に作用します。
 なお、従業員が交通事故を起こしたからといって常に懲戒解雇が有効となるわけではありません。被害者の傷が軽微であれば、懲戒解雇の相当性が認められないでしょう。
現在のみずほ銀行正面にあるプレート「道徳と経済の一致」を説いて、渋沢は実業界の正しい発展を図り、自ら率先して手本を示したのです。ここに、実業界の指導者としての、渋沢の偉大さがあるのではないでしょうか。  銀行について渋沢は、「そもそも銀行というのは大きな川のようなものだ。役に立つことにおいては限りがない。とはいっても、銀行に集まってこないうちの金は、溝に溜っている水や、ぽたぽた落ちているしずくのようなものである・・・銀行を設けて上手に水の流れを開くと、蔵や懐にあったお金が寄り集まり、多額な金となるため、その力は交易産物を盛んにさせるばかりか工業も発達する。学問も進歩する。道徳も改良されるといったように、国が生まれ変わったようになる。したがって銀行は我々の日常生活になくてはならぬものなのである。」 そして、銀行職員に対し「銀行は、産業を興すのを助けなければなりません。それが銀行の本分なのです。」と言っています。今の銀行の方々に聞かせたいと思うのは私だけではないのではないでしょうか。  私が感心させられたのは、33歳で第一国立銀行を作り、私の歳と同じ42歳には一橋大学を作ったということです。この時代から若くして大きなことをなす人は実業界にいたのだということです。  最後に、渋沢の言葉を紹介します。 「人間”足るを知る“べきである」(カネにしてもモノにしても人間の欲望にかぎりはない。”ほどよさ“これを身につけることが人生を心豊かに生きられるコツである。) 筆者と渋沢栄一像

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