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対談 本音で労働問題を語る!vol.1
前回ご案内しました川口事務所の協力弁護士 寺崎時史氏と川口事務所所長 川口史敏との対談の機会を設けることができました。今話題となっている労働関係の問題から、ちょっとプライベートな内容まで、寺崎時史法律事務所での熱く語られた2時間を、2回号に分けて掲載していきます。
   
  川口 今回の対談にあたってまずお聞きしたかったのですが、寺崎先生は、使用者側・労働者側どのような立場でお仕事されていますか?
  寺崎 基本的には、労働者側です。労働相談関係では、県の労政事務所と横浜市の労働相談を行っています。顧問先から相談を受けた場合は、労働者の立場を考慮しつつ、依頼主の会社の立場でお応えするというスタンスです。
川口 労働者から相談を受けたとき、どのような方向に持っていくなどありますか?
寺崎 基本的には、個別の労働者の立場を最大限どこまで言えるか、個別に対応しています。最近は組合のない会社が多いので、自分で自分の身を守るしかないと個人で相談に来られる方も増えています。どういう闘い方をすればいいのかも会社によっても異なり、労働基準法だけ振り回すことによって会社自体が生き残れなくなり、労働者の救済もできないとなると、正しい闘い方とは言えないと思います。大企業であれば100%労働基準法に則り、中小企業であれば戦略として法律だけ振り回していてはいけないという、ダブルスタンダードになっています。それが、現実を踏まえた闘い方ですね。
川口 場合によっては金銭解決というのもあると思うのですが、いかがですか?
寺崎 辞めるということを争った場合は、金銭解決が通常の形です。
川口 金額を決める際に、相手方の支払能力は考慮されるのでしょうか?
寺崎 そうですね。裁判が長期化して労働者のキャリアが欠落していくことなどを考えますと、早期解決が一番望ましいかと思いますので、支払能力は考慮しますね。
川口 例えば解雇の事案で、金銭解決を勧めるということはありますか?
寺崎 本人の意向第一です。本人がどうしても会社に戻りたいということでしたら、戻れるように紛争します。ただ、会社がどうしても戻せないということで給料だけ支払うけれども仕事はないということになると、仕事を通しての自己実現が図れないので、金銭解決でスッキリ辞めて次の人生を歩むというのも選択として出てきます。
川口 そうですよね。私が労働者から相談を受ける時、自己実現を考えるのであれば、他の会社でやった方がいいという選択肢もあり得る、とアドバイスすることもあります。寺崎先生のスタンスは大体分かりました。
対談 本音で労働問題を語る!vol.1
川口 ご存知の通り、高年齢者雇用安定法の改正で、65歳まで定年の引上げ、定年の定めの廃止もしくは継続雇用制度の導入が義務付けられますが、そもそも法律が定年を延ばすよう決めるというのは、どのように考えていけばいいのでしょうか。やはり、企業には終身雇用の義務みたいなものがあるのでしょうか。
寺崎 今の段階ですと、経済状況の変化によって終身で雇用する義務という考え方が薄れてきていますよね。ですから、多様化した雇用の中で、何とか高年齢者の雇用をどこかで吸収して欲しいという形の義務付けです。65歳まで定年を上げろということでも、定年制を廃止しろということでもない。いくつか取り得る方法の中で、待遇を変えた形での継続雇用で、全員雇用を継続しなければならないということにはなり、平等化が図られることになります。
川口 平等化は、やはり図られなければならないものですか?
寺崎 これは、個人個人の能力ですとか、年のとり方というのも異なってきますので、全てを吸収しきれないということは出てきますよね。
川口 年金の受給開始年齢にあわせるために65歳まで雇用の引上げを会社に任せているように思われますね。採用の時に人を選ぶのと同じで、能力が変化して高齢期に会社が求める能力を発揮できなくなった時、会社が人を選ぶという考え方はいかがですか?
寺崎 今までの一律60歳定年という年齢が妥当かという問題がありますよね。65歳でも元気な方もいれば、57・8歳で仕事人としては終わってしまっているような方もいる。会社側としては最低限定年、まで雇えば辞めてもらえるというシステムが必要で、労働者側から言えば  

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