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「過労気味だった社員が難病認定されている病気にかかった場合、会社はどうすればいいでしょうか。」
一生懸命働いてくれていた社員が「多発性筋炎・皮膚筋炎」という聞いたことのない難病にかかりました。社員は会社に過労が原因だと医者に言われたと主張しています。
この場合、労災認定は下りるでしょうか。
労働基準法75条は「業務上の疾病」の範囲を厚生労働省令に委任しています。それを受けて労働基準施行規則35条の別表一の二に仕事が原因で発症すると考えられる疾病を列挙しています。「業務上の疾病」が発症する原因は物理的因子、過度の負荷、化学的物質、粉塵、細菌・ウイルス、がん原性物質など多様です。
労災認定は、労働基準監督署という行政庁が行う保険給付をするかしないかという公権力の行使(行政行為)ですから、法に従って行われなければなりません。施行規則には「その他業務に起因することの明らかな疾病」という包括規定があります。本件でもこの規定に該当するかどうかという解釈の問題です。
ところが、「多発性筋炎・皮膚筋炎」という病気は難病認定されていますが、原因は未だ不明とされています。過労によって免疫力が低下することは知られていますが、「過労に起因することが明らか」とまではいえないので、労災認定はされないと思われます。




大倉氏が資本投入し会長に就任した伊奈製陶(現INAX)横浜ショールーム 大言壮語し、強力なリーダーシップを見せつけるタイプではなく、相手の自覚を促すような態度で部下にも接し、「温容の中からにじみ出る人格の高さに打たれて、自分の低さをまざまざと自覚せざるを得なくなるというようなこわさ・・・」であったようです。経営が安定していないときには、社員の不安を解消するためには自らが動いて見せることが一番と考え、現場を回り、社員と議論をし、散乱している工具を片付け、ゴミを拾い、水が垂れている水道の栓を締めて回ったと言われています。また、社員教育の一環として、年2・3回の社員との親睦会において、洋食器を作る会社なのに洋食を食べたことがない社員もいた時代、ただ目で見るだけではいい物は作れないだろうと自分の費用で買い集めた世界の有名な食器で社員に洋食を振舞っていました。



大倉経営の特徴の一つとして、事業の成功と発展のためには適任者を選び、それぞれが仕事に専念できるようにする仕組みが大切との考えから「一業一社」が挙げられます。森村グループも株式の持ち合いはほとんどなく、ニューセラミック分野の一部では競合しているほどです。再統合も話題になってはいますが、一業一社は日本企業が強さを取り戻すための新しいシステムとして再注目されてきているのも事実です。     (佐々木)



<<参考にした資料>>
  「製陶王国をきずいた父と子 大倉孫兵衛と大倉和親」 晶文社
  「森村市左衛門の無欲の生涯」 草思社
  株式会社ノリタケカンパニーリミテドHP


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