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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第105号 令和2年3月1日

伴弁護士の法律の窓

【テーマ】

2020年4月1日から法定利率が見直されました。

【本文】

  1. 2020年4月1日から改正民法(債権法改正)が施行されました。
    今回は、事業者に影響が生じる項目の1つである法定利率の見直しについて説明をしたいと思います。
    改正前の法定利率は年5%(5分との表現をすることがあります。)、商行為による債務の場合は年6%と定められていました。
    しかし、上記法定利率は、旧法の制定当時(約120年前)の市場における金利を参考に設定したものであり、今日に至るまで見直されることはありませんでした。昨今の超低金利情勢の下では法定利率が市場金利を大きく上回る状態が続いていることにより様々な問題が指摘されていました。
    例えば、法定利率が市場金利を大きく上回ってしまうと、債務者が支払う遅延損害金の額が不当に高くなる一方で、交通事故などで将来の遺失利益に係る損害賠償額を算定する際の中間利息控除の場面では不当に賠償額が抑えられる結果となる等、当事者の公平を害する結果を招くといった問題もありました。
    そこで、現在の市場金利の水準に合わせて法定利率を引き下げることになったのです。

  2. 今回の改正では法定利率が年3%に引き下げられ(商事法定利率は撤廃)、また、3年ごとに法定利率が見直されることとなりました。これにより、今後は市場金利の動向にあわせた法定利率が定められることになります。
    もっとも、法定利率が今後増減することとなると、ある債権についての利息や遅延損害金を法定利率によって算定する場合、どの時点の法定利率を用いるのか問題となります。
    この点、改正民法では、利息の算定に当たっては利息が生じた最初の時点における法定利率を用い、遅延損害金の算定に当たっては債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利息を用いると規定されました。
    したがって、利息の合意をせずに取引をしている事業者等においては、代金未払等の問題が生じた場合、その時の法定利率を使用することになります。
    一方で、契約書に明記をしておけば、法定利率が変動しても利率が変更されることはありません。

  3. 法定利率の観点以外にも、契約書を作成しておけば、取引に関する各当事者の権利義務、リスクの分担等を取り決めることができ、将来発生する可能性のある紛争を事前に回避することが可能となります。
    今回の改正を契機に、契約書導入の検討をしてみることをおすすめします。

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