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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第111号 令和3年5月1日

複数の事業所で勤務する労働者の通勤災害

労働者災害補償保険法改正により、ダブルワーカーなどの、事業主が同一人ではない二以上の事業所で働く労働者の、二以上の業務を要因とした負傷、障害、疾病又は死亡についても保険給付が行われることになりました。これを複数業務要因災害といいます。
従来の労災保険では、複数の会社で働いている労働者について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて労災認定の判断がされないことが課題でした。
多様な働き方やパート労働者など、副業や兼業をする方が増えている状況を踏まえ、複数事業労働者が安心して働ける環境を整備する目的で2020年9月に施行されました。
さて、複数の事業所で働く際に、通勤災害はどのような範囲で適用されるかをご案内致します。

まず、通勤災害とは、勤務する事業所へ通勤する際に起こる負傷・障害・疾病・死亡のことをいいます。その通勤の際に逸脱・中断があれば、その間に起こった事故については保険給付は行われません。
例えば、会社からの帰宅途中に映画館に寄り映画を観たとします。映画館の中、もしくは映画館から自宅へ帰る途中に転んで怪我をしたとしても、これは通勤災害にはなりません。これは「会社の帰り」ではなく「映画を観た帰り」に当たるためです。
しかし、帰宅途中の日常生活に必要な行動に関しては取り扱いが違います。スーパーマーケットで買い物をする、独身者が食事のため食堂に立ち寄る、選挙の投票に行くといった場面は逸脱にあたり、通勤とはなりません。ですが、日常生活に必要な行為ですので、元の経路に戻ったあとは通勤災害における通勤となります。

では、複数の会社で働いている労働者の通勤についての取り扱いです。
A会社で勤務したあと、B会社へ向かう途中に災害にあった場合、通勤災害に該当するのでしょうか。これは通勤災害にあたります。この場合、B会社への出勤とされますので、B会社の労災保険を使用して保険給付を受けることができます。

複数の事業所で勤務する労働者の通勤災害複数事業労働者の通勤災害に関する保険給付については、原則として従来の通勤災害の取り扱いと変わるものではありません。ですが、保険給付に係る給付基礎日額については、働いているすべての会社の賃金額を合算した額を基に計算をします。

「複数事業労働者に関する保険給付に係る給付基礎日額については、業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害のいずれの場合においても、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算することとなる。」と法律にあり、通勤災害に限らず、会社の中での災害、また複数の会社での勤務を要因とした疾病等の災害においても、複数の会社で支払われる賃金額を合算した額を基に保険給付が行われることとなります。

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