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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第118号 令和4年7月1日

労働時間とは?

大手外食チェーンが、労働時間について5分未満を切り捨てていた運用を見直し、1分単位に支払うこととしたと報道されました。労働したのであれば、つまり労働時間であれば1分単位での支払いを求めるのが厚労省の立場です。
そこで、今回のかわら版では、労働時間とは何か。何が労働時間と取り扱われるのかを改めて確認してみたいと思います。
そもそも労働時間は、使用者に把握する義務が課せられています。厚労省も「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明示しています。このガイドラインのなかで、労働時間の考え方が具体的に列挙されています。

  • 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
  • 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
  • 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

これら以外の場合で、労働時間か否かを判断するときの基準は次のように明示されています。
労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。

ここで注目する点は「個別具体的に判断される」とされていることです。つまり、労働時間になるか否かは定型的にはいえない。同じ行為であっても、Aさんには労働時間となり、Bさんには労働時間とはならないということも発生し得る。また、同じAさんの行為であっても、ある時は労働時間となるが、別の時には労働時間とはならないということもあり得ることになります。

先に紹介した1分単位で支払うこととした大手外食チェーンも、「5分単位の勤怠管理自体が違法である認識はない」としています。これは、労働時間の個別性を意図したものではないかと考えられます。

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