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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第125号 令和5年9月1日

年金と就労の関係について

年金受給者が就労すると年金が減るということはよく知られています。しかし、この仕組みを正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。今回は、この就労と年金の調整の仕組みについて4つのポイントを上げてご案内させていただきます。

  1. ①給与が高額でも年金はもらえる?
  2. ②支給調整されても、もらえる年金はある。
  3. ③給与と年金の調整の具体的計算式
  4. ④在職中に支払った保険料は年金額に反映されるの?

この4つのポイントについて、一つずつ詳しくご案内させていただきます。

①給与が高額でも年金はもらえる?

就労していても、厚生年金の被保険者(該当者)でなければ、報酬が多くても年金は停止されません。被保険者が100人以下の会社にお勤めの場合、厚生年金の被保険者資格を取得する要件は、おおむね週の所定労働時間が30時間以上となります。被保険者が100人以下の会社にお勤めの場合、週の所定労働時間が30時間未満で働けば、報酬の多寡にかかわらず年金は満額受給できます。つまり、年金が支給停止される方は、厚生年金の被保険者になる方で、かつ、報酬の多い方となります。

②支給調整されても、もらえる年金はある。

在職して報酬をもらうことによって調整されるのは、厚生年金となります。従いまして、報酬が多く厚生年金が停止されても、国民年金は満額支給されます。

③給与と厚生年金の調整の具体的計算式

厚生年金の停止の仕組みは、厚生年金の月額と社会保険の報酬月額(その月に実際に支給されている報酬額ではありません。また、正しくは「総報酬月額相当額」という)の合計が48万円を超えた場合、その超えた額の1/2の額が停止されます。
具体的には次の通りになります。

厚生年金の停止額=(停止前の厚生年金の月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
停止後の厚生年金の月額=停止前の厚生年金の月額ー厚生年金の停止額

つまり、厚生年金の年金月額と総報酬月額相当額の合計が48万円を超えなければ年金は停止されません。
また、厚生年金の停止に影響するのは、厳密にいえば現在の社会保険の等級ではなく、総報酬月額相当額となります。
総報酬月額相当額とは、現在の等級に、当月前1年間の賞与額の1/12を足した額となります。

④在職中に支払った保険料は年金額に反映されるの?

年金をもらいながら働くことによって、厚生年金の被保険者期間中は、厚生年金の保険料が発生します。この支払った保険料に基づき年金額は変更(増額改定)されるのか疑問を持つ方もいらっしゃると思います。この支払った保険料に基づき、毎年10月分の年金額が増額改定されます。他にも、社会保険の報酬月額が変更された場合や賞与の支払があった場合にも年金額は変更されることがあります。

なお、70歳以降も働く場合は、厚生年金の被保険者資格は年齢制限により喪失されます。従って、70歳以降は厚生年金の保険料は発生しなくなります。保険料が発生しないため年金額の増額改定もされません。ただし、就労形態(時間数等)に変更が無ければ、70歳以降も前記のルールで年金は止まることがあります。
また、年金を繰上げ・繰下げ受給されている場合の在職調整は取扱いが異なりますのでご注意願います。

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