団体交渉の時間は、本件の場合、使用者の職務遂行に支障がなければ、組合と折り合う時間でいいでしょう。交渉の時間は、予め2時間なら2時間という予定時間を設定しておく方が望ましいでしょう。同じ話の繰り返しや感情的な話になったときのために、終了予定時刻を決めておけば、交渉を途中で打ち切った不誠実な交渉という非難は回避できます。
団体交渉の場所については、組合は組合事務所や会社施設を指定してくることがあります。しかし、使用者にとって、組合事務所は、「アウェー」であり、その場にいる組合執行部の数に圧倒されてしまう危険性などがあり、望ましくないでしょう。逆に、会社施設は「ホーム」になるのですが、他の従業員に会社が解雇問題でもめていることを知らしめてしまうので、これも望ましくないでしょう。結局、貸し会議室のような第三者の管理している場所が、双方に平等で好ましいでしょう。費用は、双方で折半するのも、場所を選定した方が負担するのも、どちらでも構わないと思います。
出席者は、数の優位で交渉が進行しないように、双方各5名程度に限定しておく方がよいでしょう。
このようなセッティングをして、いざ交渉に挑むわけですが、本件では「解雇無効」というテーマになっています。そこで使用者がまず考えなければならないことは、「元従業員」の真の要求が会社に復帰することなのか、それとも金銭的要求なのかを見極めることです。
次回は、具体的な交渉過程の注意点を述べましょう。