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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第49号 平成23年1月1日

個別労働関係あっせんとは?

個別労使紛争の解決手段は、行政サービスによる個別労働関係あっせんと、前号で説明した労働審判などの裁判所による労使紛争の解決のふたつがあります。 今回は都道府県労働局が行っている紛争処理システムであるあっせん制度についてご説明いたします。

1.あっせん制度とは?

企業組織の再編や雇用・就業形態の多様化・個別化などにより、退職の強要、いじめ・嫌がらせなど労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争が増加しています。

このような労働紛争を最終的に解決する手段としては裁判制度がありますが、それには多くの時間と費用がかかってしまいます。そのため、職場慣行を踏まえた円満解決を図るための制度が求められました。
このため個別労働紛争の未然防止、迅速な解決促進を目的とした「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が施行され、都道府県労働局では、労働問題に関する高い専門性を生かした、無料の労働紛争解決援助サービスとして、次の3制度を提供しています。

あっせん制度はそのうちのひとつです。

労働紛争解決システムの概要

(1)総合労働相談コーナーにおける相談・情報提供
個別労働紛争が起こってくる原因の中には、法令や判例を知らなかったり、誤解に基づくものが多くあります。そこで労働条件、募集・採用、セクシュアルハラスメント、いじめなどの労働問題に関する分野について専門の相談員が面談、電話により相談を受け付け、法令や判例などの情報提供を行っています。

(2)都道府県労働局長による助言・指導
都道府県労働局長が個別労働紛争の当事者に対して当該紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆することにより自主的な解決を促進するものです。ただし、行政指導とは異なり、実施を強制するものではありません。

(3)紛争調整委員会によるあっせん
あっせん委員(弁護士、大学教授等の専門家)が紛争当事者の間に入り、双方の主張の要点を確認し、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示して、調整を行い、紛争の解決をはかるものです。なお、両当事者が希望した場合は、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示することもできます。

※ 紛争調整委員会とは
弁護士、大学教授等の労働問題の専門家である学識経験者により組織された委員会であり、都道府県労働局ごとに設置されています。この紛争調整委員会の委員のうちから指名されるあっせん委員が、紛争解決に向けてあっせんを実施します。

2.あっせんの対象となるトラブル

労働問題に関するあらゆる分野のトラブル(募集・採用に関するものを除く。)がその対象となります。

(例)
・解雇、顧止め、配置転換・出向、降格、労働条件の不利益変更等労働条件に関するトラブル
・いじめ・嫌がらせ等、職場の環境に関するトラブル
・労働契約の承継、同業他社への就業禁止等の労働契約に関するトラブル
・その他、退職に伴う研修費用の返還、営業車等会社所有物の破損に係る損害賠償をめぐるトラブル など

3.紛争調整委員会によるあっせん手続きの流れ

あっせん手続は以下の流れで行われます。

あっせん手続

(注1)
必要に応じて申請者から事情聴取等を行い、紛争に係る事実関係を明確にした上で都道府県労働局長が紛争調整委員会にあっせんを委任するか否かを決定します。
(注2)
申請内容を被申請人に的確に伝えるため、あっせん申請書の写しを被申請人へ送付することがあります。
(注3)
あっせん開始の通知を受けた被申請人が、あっせん手続きに参加する意思がない旨を表明したときは、 あっせんを実施せず、打ち切ることとなります。

4.企業の対応

あっせんの手続きは参加を強制されるものではありません。事業主があっせんに参加することを強制されたり、あるいは参加しなかったことによって不利益を受けることはありません。あっせんの通知がきても冷静に参加・不参加を決めて対応して下さい。
また、労働者に問題がある場合は、事業主側からあっせんを申請することができます。

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