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第76号 平成27年7月1日

年次有給休暇の計画的付与の活用

『年次有給休暇』についての最新の記事があります。

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(法律改正(未改正)のご案内)

~会社が、年次有給休暇の取得をコントロール~

国会で、労働基準法の改正について審議されています。その中の改正項目の1つに、年間5日以上の年次有給休暇の強制取得というものがあります。改正法が成立すれば、来年4月から実施される予定です。この制度は、現行法にあります年次有給休暇の計画的付与に類似する制度となります。そこで今回は、年次有給休暇の計画的付与という制度について、Q&A形式でご案内させていただきます。

Q
年次有給休暇の計画的付与とはどのような制度か
A
各人が有する年次有給休暇の日数の内、5日を超える日数について、労使協定を結べば、各人の年次有給休暇の取得日をあらかじめ割り振る(決めてしまう)ことができる制度です。
Q
年次有給休暇の割り振り方にはどのような方法がありますか
A
  1. 全員同一日に年次有給休暇の取得日をあらかじめ割り振ることによって、事業所全体の休みの日を、年次有給休暇の取得として扱うという方法
    たとえば、夏季に、事業所全体を休みとする場合に、各人の年次有給休暇を割り当てるといった使い方ができます。
  2. 各人別々に年次有給休暇の取得日をあらかじめ割り振るという方法
    たとえば、夏休みが交替制となっている場合で、7月~9月の間に各人ごとに夏休みを割り当てるという使い方が考えられます。
Q
年次有給休暇の計画的付与のメリットは
A
会社側のメリットは、年次有給休暇の消化を閑散期に促進できます。また、年次有給休暇の取得を分散させることができます。
このことは、労働者が有する年次有給休暇取得日指定の自由を、会社が一定程度コントロールできるということを意味します。
労働者側のメリットとしては、あらかじめ取得日が会社ときめられていることから、年次有給休暇を取得しやすいといえます。
Q
年次有給休暇の計画的付与の要件にある「5日を超える日数」というのはどういう意味ですか
A
例えば、年次有給休暇の残日数が10日の従業員に対しては5日、20日の従業員に対しては15日までを計画的付与の対象とすることができます。
Q
「5日を超える日数」という場合の5日とは前年よりの年次有給休暇の繰越し分も含まれるのか
A
前年よりの年次有給休暇の繰越分も含め、5日を超える部分について計画的付与の対象とすることができます。たとえば、前年からの年次有給休暇の残日数が3日で、本年新規に年次有給休暇が付与される日数が12日の場合、
3+12-5=10日
まで計画的付与の対象とすることができます。
Q
年次有給休暇の計画的付与を導入するにあたり就業規則の変更は必要ですか
A
必要です。
具体的には
第○条 各人が有する年次有給休暇(繰越し分を含む。)のうち、5日を超える分については、労使協定を締結し、当該協定の定めるところにより年次有給休暇の時季を指定することができる。この場合において従業員は、会社が特に認めた場合を除き、当該協定の定めるところにより年次有給休暇を取得しなければならない。
と定めることがかんがえられます。
Q
年次有給休暇の計画的付与の労使協定にはどのようなことを定めなければなりませんか
A
年次有給休暇の計画的付与を各人別に付与する場合の例をご紹介します。
年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定

○○株式会社代表取締役○○○○と従業員代表○○○○とは、年次有給休暇の計画的付与に関して次のとおり協定する。

  1. 各人が保有する平成○年度の年次有給休暇(以下「年休」という。)のうち、5日を超える部分については3日を限度として計画的に付与するものとする。
    なお、その保有する年休の日数から5日を差し引いた日数が「3日」に満たないものについては、その不足する日数の限度で特別有給休暇を与える。
    (「その保有する年休の日数から5日を差し引いた日数が「3日」に満たないものについては、本協定は適用しない」とすることも可)
  2. 年休の計画的付与の期間及びその日数は、次のとおりとする。
    7月~9月の間で3日間
  3. 各従業員は、年休付与計画の希望表を、所定の様式により、休暇対象期間の始まる1カ月前までに、所属長に提出しなければならない。
  4. 各個人別の年休付与計画表は、休暇対象期間が始まる2週間前までに会社が作成し、通知する。
  5. 会社は、第3項の希望表に基づき、各従業員の休暇日を調整し、決定する。

平成○年○月○日

○○株式会社
代表取締役 ○○○○   印

○○株式会社
従業員代表 ○○○○   印

Q
新入社員等、入社間もない従業員で、年次有給休暇がまだ付与されていない者や年次有給休暇の残日数が5日以下の者に対してはどのように対応すればよいか
A
会社全体を休みとする場合には、特別休暇を付与する等の措置をとる必要があります。個人別に割り振る場合には、この方を対象としないこともできます。
Q
年次有給休暇の計画的付与はアルバイトやパートタイマーも対象となるのか(対象とすることができるか)
A
対象とすることができます。また、差別的取扱いでなければ対象外とすることもできます。いずれにしても、労使協定で対象範囲(対象となるか否か)を定めることになります。
Q
年次有給休暇の計画的付与に反対の従業員についてはどのようになりますか
A
年次有給休暇の計画的付与は、労働者の過半数代表との協定が締結されれば、その協定で適用者とされている者につては、制度導入に反対であっても計画的付与の対象とすることができます。そして、計画的付与日とされた日については反対の者であってもその日に年次有給休暇が取得されたものとして扱われることになります。
Q
計画的付与分の日数も含めて年次有給休暇の取得を申し出てくる者がいますが認めなければなりませんか
A
計画的付与で付与日が決まった日数については、その日数分の年次有給休暇は、本人が自由に取得できなくなります。
たとえば、残日数が8日ある方に対し、3日分計画的付与がされた場合、5日までは自由に有給が取得できますが、6日目の取得の申出がなされた場合、労働者からの年次有給休暇の申出を会社は断ることができます。

年次有給休暇の計画的付与は、閑散期に年次有給休暇の取得を促進できる等会社にとってもメリットのある制度となります。また、今後の労働基準法改正にも親和性があります。従いまして、今からでも導入を前向きに検討されることはよろしいかと思います。

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