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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第83号 平成28年9月1日

寺崎弁護士の法律の窓

「IT企業の経営者ですが、最近、従業員のSE(システム・エンジニア)が髪の色を黒髪から金髪に変えてしまいました。SEは発注先の企業に出向いて仕事をすることも多いので、髪の色を元に戻すように注意しているのですが、本人は改めません。発注先への業務から外し、人事評価の面でも賞与を低く査定するしかないと思っていますが、何か問題があるでしょうか。」
企業は、従業員の身だしなみをどこまで拘束できるのでしょうか。
労働者の身だしなみは、もともと労働者個人が自己の外観をいかに表現するかという労働者の個人的自由に属する事柄であり、身だしなみに対する制限は企業運営上必要かつ合理的範囲内にとどめられるべきです。
クレヨンの「肌色」という色の表示が、肌の色による人種差別を想起させることから「うすいだいだい色」、「ぺールオレンジ」と言い換えられたように、髪の色が黒であるという日本人の固定観念も修正せざるを得ないと思います。例えば、中高年者が白髪を黒色に染めること(白色→黒色)が日常的なことであれば、世界には色んな髪の色があることを前提にすると、若者が黒髪を茶髪や金髪に染めること(黒色→茶、金色)を非難することは、「髪の色は黒髪がベスト」という考え方に縛られているわけです。
企業の中には、黒髪、着物で「和の接客」をする飲食業界、旅館業界もありますが、その他の職種においては、髪の色で顧客満足度が異なるというものではない限り、髪の色の制限を必要とし、かつ合理的であるとする正当化理由は見あたりません。
そうすると、担当業務を限定することや人事評価を低くするということは、違法と評価される可能性が大です。後日、労働者から身だしなみに対する違法な制限を理由に損害賠償を請求されると請求が認められることがあります。

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