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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第85号 平成29年1月1日

寺崎弁護士の法律の窓

「建設会社を経営しています。工事請負(ほとんど下請けですが)が有期事業という特性上、工事の作業場所が変わっていきます。作業員の自宅から作業場所までの移動時間は通勤時間と考えて賃金は発生しないと考えていいでしょうか。なお、作業場所が最寄り駅から離れて不便な場合には、作業員を会社の車でピックアップして帰社途中の駅で降ろしたり、会社まで同乗させたりすることもあります。」
判例は、労働基準法上の「労働時間」を「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義しています。また、実作業(本件では工事作業)の準備行為等が使用者の指揮命令下に置かれているかどうか(つまり「労働時間」といえるか)については、「労働者が準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたとき」も「労働時間」に含まれるとしています。
そうすると、作業員が作業場所へ行く通勤時間は、「労働時間」には含まれないことになります。ただ、実作業終了後、現場での機械・工具の点検・掃除、整理整頓、作業服・保護具の着替えなどの後始末時間は「労働時間」に含まれることになります。
では、移動時間はすべて通勤時間とされるのでしょうか。これについては、1984年労働大臣(当時)の私的諮問機関が次のような提言をしています。
始業前、就業前の移動時間は、作業場所が通勤距離内にある場合、労働時間として扱わないが、作業場所が通勤距離を著しく超えた場所にある場合は、普段の通勤時間を差し引いた残りの時間を労働時間として扱う。
これは直行・直帰の場合ですが、常時直行・直帰となる建設工事を想定しているわけではないようですので、そのまま適用できるか、という問題があります。

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