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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第95号 平成30年9月1日

伴弁護士の法律の窓

きちんと契約書を作成していますか?

[質問]
私が代表を務める会社は、主に建築工事の請負をしております。この業界では契約書を交わさずに仕事を進めることが頻繁にありますが、特に紛争が起きたことはありません。契約書が無くても問題は起きないのではありませんか?
また、インターネット上にある雛形を使えば十分ですよね?

[回答]

  1. 契約書を作ることの意義
    そもそも請負契約は、口頭の合意だけで有効に成立します。それにもかかわらず契約書を作成すべき理由は、将来の紛争を予防するという重要な効果があるからです。
    契約内容を巡って取引先との間で裁判に発展するケースでは、契約書が作成されていなかったり、一応作成されていたとしても不十分であったりすることが、紛争の主な原因となっています。
    取引が円滑に進んでいる段階では取引先との関係が友好的であるため、契約書が不存在又は不十分であってもたいして危険を感じないものです。
    しかし、関係が悪化してしまった後では、書面上はっきりしない事柄の解決について相手方の善意を期待することはできません。「話しが違う」などと叫んでも裏付け資料がなければ証明は難しいでしょう。特に契約締結から相当期間が経過した後に問題が明らかになった場合、いざ契約当時のやり取りを証明しようとしても、既に関連資料を紛失していたり、関係者が退職していたりして絶望的となる事態も想定されます。なお、業界の「暗黙の了解」というものは裁判所にはなかなか通用しません。
    これに対して、契約時に、契約内容を漏れなく明記した契約書が作成されていれば、契約内容の証明が容易です。そうすると、仮にトラブルになっても裁判沙汰に発展するリスクを防ぐことができますし、裁判になったとしても有利に進めることができます。

  2. 契約書の作成方法
    たしかに、近頃はインターネット上に、契約書の雛形が掲載されていることがあります。
    しかし、このような雛形は作成者不明の無責任な内容であったり、作成時期が古く法改正に対応していなかったりするおそれがあります。雛形に手を加えるとしても、一部だけに着目して修正すると書面全体で矛盾が生じる危険があります。さらには、契約書の作成は紛争の予防を目的としますので、紛争になった場合を具体的にイメージできないと、いざというときに役立つ契約書を作るのは困難でしょう。
    契約書の作成にあたって専門家によるチェックを受ければ、紛争回避の可能性が高くなり、結果的にトラブル対応に要するコストを削減できます。経営者としてはその一手間をかけて将来の紛争をできる限り予防すべきでしょう。

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