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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第93号 平成30年5月1日

伴弁護士の法律の窓

整理解雇について

[質問]
ここ数年会社の業績が思わしくないため、無作為に数名の従業員を辞めさせようと考えているのですが、何か気をつけることはありますか。

[回答]

  1. 整理解雇とは
    会社の業績悪化や経営不振など使用者側の都合で人員整理が必要となった場合に行われる解雇を整理解雇と呼びます。整理解雇は、いわば使用者側の都合で労働契約を解消することになるので、無限定にこれを認めてしまうと、労働者の立場は極めて不安定になってしまいます。
    そのため、労働契約法16条において、「解雇は、客観的に合理性を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用した者として、無効とする」と厳格に定められています。
    したがって、質問にあるように、単に業績が悪いことを理由に、しかも理由なく無作為に選んだ数名の従業員に対し解雇の旨伝えても、その解雇は無効になる可能性が高いものといえます。

  2. 整理解雇の進め方
    では、整理解雇を行うにあたり、どのような点に気をつければよいでしょうか。
    近時の裁判例に照らせば、次の4要素を総合的に考慮し判断されております。

    1. 人員削減の必要性
      →経営危機が本当に存在するのか、人員削減が本当に必要な措置なのか、等会社の売上や利益の推移、従業員増減の程度その他様々な事情に照らしてチェックをしたかどうか
    2. 解雇の回避努力
      →解雇以外に経費削減の措置(役員報酬減額、残業削減、新卒採用中止、一時休業、希望退職者の募集等の措置)を講じ、解雇をできるだけ回避する努力をしていたかどうか
    3. 人選の合理性
      →被解雇者の選定は、客観的で合理的な基準に従い公正に適用して行ったか
    4. 手続きの相当性
      →使用者は、労働者に対して整理解雇に関する十分な説明を行い、誠意をもった協議を行ったかどうか
  3. 整理解雇は、従業員に与える影響が重大であるため、後日法的トラブルとなる可能性が高いものといえます。
    事前に専門家に相談をし、整理解雇の手順、対策につき協議することをお勧めします。

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